白き焔と出会いの話 - 4/5

「”閉じろ”」

カチン。鍵のかかる音。

「あ!!坊っちゃんダメ、逃げる!」

知らない女性の声。

「……ッチ。逃げ足早すぎだ」

手応えがなかった、と言わんばかりの溜息。
ルーツィエが、そっと瞼を持ち上げる。

「でもこの一帯は綺麗にはなったし!えーと」

暗い桃か紫か、長い髪に長い耳、それから頭に角を生やした女性がこちらを覗き込んでくる。
しゃら、という音は手首にある鎖だろうか。赤い瞳は無事を確認したからか、ルーツィエから逸れて金糸を揺らす少年へと向いた。
落ち着いた色合いの金を持つ少年の頭には、揺れる猫耳。警戒をしたままなのかぴんと立っていて、忙しなく動いている。

「そちらさんも無事で何より。夜に一人でうろつくもんじゃねぇぞ」

褪せた青が向けられて、それから懐に押し込んだ獣がきゅぅと鳴き、そこでやっとルーツィエは息を吐き出した。ありがとう、の言葉も言えなくて、せめてもと軽く頭を下げる。
少年からは少し観察するような視線を向けられていて、若干落ち着かなかったけれど。ただ、彼はそれでこちらが冒険者だと分かったのか、呆れたような溜息をひとつ。

「まぁ良い、……とりあえず依頼はこんなもんか。ついでだ、この辺にもうあの類のはいねぇと思うが街までは送る」

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