「そんな訳で、とりあえず、仲間」
「きゅ!」
昨晩、あの二人に助けられたルーツィエは街の中まで送ってもらい、途中で分かれて歌う小猫廓に帰る事ができた。
夜が更けても帰ってこない、その上近隣での人工妖精だか精霊だかの騒ぎがあったものだから、パーティメンバーにはそこそこ心配をかけたようで。
助けてもらえたとはいえ、街に戻った後もずっと心臓は早鐘を打っていた故に説明はこうして翌朝となってしまったが。
魔獣はあれからもずっとルーツィエの傍にいて、どうにも強靭な生命力を気に入られたのか、そのまま契約を結ぶ運びになった。助けてもらった、ということもある。
名は付けないのか、と周囲に言われたルーツィエは眉をきゅっと寄せ、腕を組んだ。契約には名はあった方がより強靭となるのだろうが、何せこの間購入した鳥にすら名付けが済んでいない。
……長らく彼らは名無しのまま、日々を送ることになりそうだ。
「…………」
やいのやいのと小鳥と魔獣とか皆に可愛がられている様子を眺めつつ、そういえばあの二人の名前を聞き忘れていたな、だとか。どこの宿の者だったかも聞いていないな、だとか。
思わぬ再会をした精霊を思い出して、身体を硬くしてしまうだとか。すぐに宿場の賑やかさに意識を向けられたから、それはすぐに解けたけど。
二度は、会いたくないな、と思う。
三度が、あるのだろうな、と思う。
それこそ倒さぬ限りは、ずっと。
ぽふ。足元に毛玉が当たって、身体をよじ登ってくる。魔獣はルーツィエの肩に乗ると、きゅぃ、と可愛らしく鳴いてみせた。
「あんた、もう少し野生動物なりの危機感持てよ」
「きゅぅ!?」
心外だと言われているような気がして、ほんの少しだけ頬が緩み、唇に緩く弧を描く。
ともあれ、今回は無事だった。今はきっと、それで良い。
身体を寄せて擦りついてくる魔獣を指先で撫でながら、一度瞼を落とした。
先日会ったばかりだけど、また彼と顔を合わせて。
それから居心地の良い隣で、腕の中で。ゆっくりと過ごしたい、だなんて思いながら。

